REIC遺伝子治療の臨床試験について

REIC(Reduced Expression in Immortalized Cells)とは

  • 岡山大学でアフリカツメガエルの幼生頭部形成に関与するDkk-3遺伝子のヒトホモログとして発見。
  • 多くのがん細胞において発現低下が認められている。
  • REICはがん治療遺伝子であり、癌細胞での強制発現により、小胞体ストレス応答を惹起してがん細胞選択的アポトーシスを誘導するが、正常細胞ではこのような活性を示さない。
  • REICは抗癌免疫賦活化作用を持ち、前立腺がんに対するREIC遺伝子治療研究では、遠隔病巣への効果が確認されている。

アデノウイルスベクターを用いてREICを癌細胞に導入するAd-SGE-REIC製剤を用いた消化器癌治療開発を行っています。

将来的にはすべての消化器癌を対象とする予定ですが、はじめに肝癌および膵癌肝転移を対象とした医師主導治験を平成29年度にスタートします。

グループでは臨床現場での疑問を分子生物学的手法を用いて解明することを目的として研究を進めています。診療において疑問に思っていることを自分で解明したい方にはその手助けをします。また学位取得後の海外留学の斡旋もしています。

Ad-SGE-REIC製剤を用いた進行肝臓がん(転移性肝臓がんを含む)に対する医師主導治験

対象疾患

進行肝癌および肝転移を伴う膵癌

治験の目的

主目的 肝がん患者におけるAd-SGE-REICの腫瘍内投与における安全性の評価、及び用量制限毒性(DLT)に基づく最大耐用量(MTD: maximum tolerated dose)の決定
副目的 Ad-SGE-REICの有効性の評価
主要評価項目 安全性
副評価項目 有効性

投与方法

選択基準

1) 病理組織学的に肝細胞がん、転移性肝がんの診断が確定している転移を有する患者(肝摘出時に転移を有する症例を含む.原発巣の有無は問わない.)
2) 治験への参加について、十分な説明と同意(インフォームド・コンセント)が得られている患者
3) 治療前に、肉眼的あるいは超音波、CT、MRIなどの画像検査で、腫瘍径などの評価可能な病変を有する患者
4) 肝がんの標準治療に不応、不適又は拒否した患者
5) 生命予後が3ヶ月以上と考えられる患者
6) 超音波ガイド下にAd-SGE-REICの注入が安全に施行可能と判断される患者
7) 尿・血液検査などの結果、重篤な合併症がなく、原則として登録前4週間以内に実施された事前検査結果が以下の基準を全て満たした患者

好中球数:1000/μL以上
ヘモグロビン濃度:8.5 g/dL以上
血小板数:60000/μL以上血清アルブミン濃度:2.8 g/dL以上
総ビリルビン: 3.0 mg/dL以下
AST及びALT:施設基準値上限の5倍以下
PT-INR:0.8から施設基準値上限の2倍以下
血清クレアチニン濃度:施設基準値上限の2倍以下

8) 20歳から80歳の患者
9) ECOG performance statusがgrade 0又は1の患者
10) 登録時の肝機能がChild-Pugh スコア7点以下に該当する患者

除外基準

1) 活動性の細菌、真菌、ウイルス感染症を有する患者(ただし、B型肝炎、C型肝炎を除く)
2) 活動性の重複がんを有する患者
3) 中枢神経系の転移を有する患者
4) HIV抗体が陽性の患者
5) 狭心症、心不全、又は梗塞後1年以上経過していない心筋梗塞の患者
6) 精神病又は精神症状を有しており、治験への参加が困難と判断された患者
7) 妊娠中の女性、妊娠の可能性のある女性、又は授乳中の女性
8)前処置を含む本治験に用いる薬剤に対して、過敏症の既往を持つ患者
9)本治験参加前4週間以内に他の治験又は治験に参加している場合、もしくはその影響が認められると考えられる場合
10) 本治験参加前4週間以内に抗腫瘍薬の投与を受けた患者
11) 登録前4週間以内にがんに対する局所療法(外科的切除、ラジオ波焼灼療法、経皮的エタノール注入療法、肝動脈化学塞栓療法、肝動脈塞栓療法等)を受けた患者
12) 抗凝固療法又は抗血小板療法を受けている患者
13) HbA1C 8.0%を超えるコントロール不良の糖尿病を合併する患者
14) 全身性コルチコステロイドを含む免疫抑制療法を受けている患者
15)その他、担当医の判断で不適当と見なされた患者

外来担当窓口

肝癌 中村 白羽 白羽 池田 安中
膵癌 堀口 加藤 内田 松本 友田

臨床開発ロードマップ

Ad-SGE-REIC製剤の肝がん、膵がんに対する非臨床成績