教授あいさつ

岡田 裕之

ご挨拶

岡田 裕之

消化器・肝臓内科学教室は臓器別再編成により旧第一内科学教室から改称された教室です。

2015年8月現在、医局員58名、同門会員1028名の大きな組織となっています。私は、2015年6月1日に消化器・肝臓内科学教授を拝命し、就任いたしました。

私自身は消化管領域が専門ですが、教室としては肝臓、胆・膵領域を含めた消化器病全領域を専門としており、関連病院、実地医家とも連携しあって質の高い診療、研究、教育を実践すべく取り組んでいます。

診療について

消化管、肝臓、そして胆・膵疾患の悪性疾患、炎症性腸疾患、ピロリ菌診療(専門外来)、胆管炎、膵炎、そして肝炎、肝硬変などの疾患の診断と治療を行っています。

他院での治療困難例や重篤な合併症をもった患者さんの紹介例が多いのが特徴です。特に、消化管、胆・膵疾患の内視鏡治療、肝癌に対するIVR治療、RFA等、観血的処置による先進医療に積極的に取り組んでいます。

内視鏡診療は光学医療診療部、超音波診療では超音波センターが診療の現場となっています。一方で、新薬が次々と登場している炎症性腸疾患、肝炎、そして進行癌の薬物治療においても中四国各地から多数の患者さんが集まって来られています。

さらに胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡・内視鏡合同手術や咽頭癌の内視鏡切除等他科とのコラボレーションも増加してきております。また、診療技術の連携とさらなる向上を目指して国内ハイボリュームセンターへの研修も積極的に推進しています。

研究について

臨床で生じた疑問を基礎研究で解決し、それを臨床研究で証明し、患者さんの診療に還元することを基本的なスタンスと考えています。

医局の先生たちは、それぞれのテーマをもって基礎研究、臨床研究に取り組んでいます。基礎研究では各種肝疾患、炎症性腸疾患の病態解明、ピロリ菌による胃発癌機序解明、肝癌、膵癌の遺伝子機能解析と新たな遺伝子治療の開発、消化管の再生医療などを当科のみならず、本学基礎研究教室、他大学との共同研究も行いながら取り組んでいます。海外留学も推奨し、希望者も増加してきています。

一方、臨床研究においては、大学病院内だけでなく、他科、あるいは関連病院と連携して、岡山から臨床のエビデンスを世界に発信しようという意気込みのもと多数例の集積による観察研究、前向きの介入研究を計画し、実践しています。さらに全国多施設共同研究にも積極的に参入しています。

教育について

医学部学生には消化器内科でおこなっている様々な医療を実際に見てもらい、診療のアシスタントとして実際に診療のツールを扱ってもらい、そして医師として、また社会人として先輩である医局の先生方と大いに語り合う機会をもっていただきたと考えています。さらに、それらを通して患者中心の医療が行われていること、チーム医療の重要性についても実感してもらいたいと考えています。

初期研修医の先生には期間が2ないし4ヶ月と限られているので、消化器内科全般の基本的診療の進め方を習得してもらうと同時に、超音波検査でも上部消化管内視鏡検査でも何とか完遂できたという達成感を味わってほしいと思います。

そして消化器内科に興味をもっていただき、我々と共に消化器内科診療に携わる道を選んでいただければ嬉しい限りです。一方、たとえ、他の診療科に進んだ場合でも消化器疾患が合併してくる頻度は高いので、消化器内科で習得したことを生かして臨んでいただきたいと思います。

若い先生方へ

優れた臨床医になるためには、広く多くの症例を経験することと、限定された症例であっても、より深く掘り下げること。この両者が必要と考えます。前者においては、関連病院で多数の患者さんの診療に携わることが重要だと考えます。

一方、後者は扱う疾患は限られてきますが、関連病院に比べて、医師の数も多く、比較的時間的余裕もある大学病院が、その役割を果たすべきだと考えています。

そして経験した一例一例を大事にして、過去における同様の症例のカルテ検索、文献検索も行い、必要あれば当教室や基礎研究教室と協力した基礎医学的検討も行う。さらに、その結果を学会や論文発表することを念頭に置く、そういったリサーチマインドをもって日常診療に臨む習慣をつけておくことが重要です。それは、先に述べた研究を将来的に行っていくうえにも重要なことです。

大学でも関連病院でも消化器内科の先生たちは物凄く忙しそうに働いていて、ひょっとすると、みなさんには大変だなあ、疲れているなあ目に映るかもしれません。確かに忙しいと思います。重症の患者さんを診ることも多いし、夜間休日呼びだしを受けることもしばしばあります。

しかし、ちょっと疲れたように見えるかもしれない消化器内科医に尋ねてみてください。大変だからイヤになりますか?と。きっと、みんな応えると思います。「大変だけど、イヤではない。やりがいがある。消化器内科医になってよかった」と。(もっとも、それは、どの科でも共通しているかもしれませんが)

当科は中国四国、そして兵庫県にわたり、地域の基幹病院をはじめとして多くの関連病院がありますが、どこも消化器内科医はまだまだ不足しているのが実情です。消化器内科に興味をもっている方は、もちろんですが、色々迷っている方も是非、一歩踏み出していただいて、我々と一緒に消化器内科の未来を築いていきましょう。

もちろん、内科のなかで消化器だけしか診れないというのではよくないと考えますし、また、内科専門医制度も大きく変わってきています。単一の臓器別内科だけのカリキュラムでは専門医を取得することは困難です。

岡山大学も内科各科が連携をとって協力しあって関連病院も含めたカリキュラムを構築し、内科を目指す方々が困らないように対処しています。

(2015年8月)

岡山大学大学病院 消化器内科 岡田 裕之